新規事業立ち上げや、起業するときなどアイデアを思いついた時、具体的に動くだす前にいろいろ話し合ったり人の意見を聞いてみたり、自己否定するという経験がある人は多いと思います。まったくの一人で立ち上げをやるケースでない限り自分以外の人の意見と自分の意見をぶつけ合い、すり合わせていくことになるのですが建設的な話になるときもあれば、話して言った結果「や~めた」なんてことも往々にしてあるわけです。
 
ぼくは「何をやるかよりも誰とやるか」を重視するタイプなので「それぞれができることから、派生するビジネスを考えよう」という思考パターンを持っています。今までそうやって事業を立ち上げてきましたので、今後も(やり方が劇的に変わることは稀なので)そうだと思います。
 

そうした場合、飛躍的なアイディアでプロダクトを産み出すというよりも生み出されるものは集まった人それぞれの強みによって発生するという事の方が圧倒的に多いのです。そこでアイデアを考えて具現化していくプロセスを最近思うことろがあって、少し自分で見直してみましたのでもしかしたら参考になるかも…とちょっと書いてみます(備忘録的なので書き直すかもしれませんが)

1.ブレインストーミングを重ねていく

まず大前提ですがブレインストーミングが大好きな事が必要です。特に起業家の人たちと新規事業のアイデアについて話し合うと物凄い刺激になります。ブレインストーミングですので否定的意見は除外することが重要です。「できない」ではなく「どうやったらできるか」を話し合う場なので当然のルールです。また「自分たちならできるだろう」という野蛮な思い込みが最低限必要です。なぜなら自分たちの実行能力を疑っていては新規事業のブレインストーミングは成立しません。また実務能力を評価するのは第三者の仕事です。(向いていない人はここで、かなり不安になっていると思います)

2.サービスが利用されるシーンを想定する

新しく考えているサービスは、どういう人たちに利用されるだろうかを想定するのはとても重要です。どんな属性の人たちで、何に困っている人たちの解決に役立つのだろうか?「自分だったら、どういう風にこのサービスを利用するだろうか」「要するにこのサービスを利用すると、何が解決できるのだろうか」こういうことを考えていくと、サービスは余計な部分を削ぎ落としてシンプルになっていきます。これは仮説検証に近い作業です。このことを繰り返すことによって当初に想定していたサービスモデルは大きく変わることもあります。でもこの作業のおかげで事業ビジョン・ミッション・コンセプトが明確になってきます。

3.リスクを洗い出してみる

新規事業を考えていると時として夜中にまで議論が及ぶことがあります。またアイディアが夜中に浮かぶこともあります。こうしたときに陥りやすいのが「成功しないわけがない」と自らの考えに酔うことです。
 
“夜中に書いたラブレター”みたいな状態に陥ります。またブレインストーミングの場では否定的意見を除外しますので案外リスクを軽視しがちになります。そこでこのステップではリスク条件を書き出してみるということを行います。できれば他の起業家だったり一般ユーザーに近いと思われる層の方に事業について、サービスについてどう思うか何か落とし穴はないだろうか、と尋ねてみることが必要です。

4.業務フローの設計をする

どのようなサービスであれ業務フローというものが必要です。サービスの概要が見え始めてきた段階で業務フローを書き出して

  • 何かボトルネックになるものはないか
  • サービス提供の際に、誰が何を担当するのか
  • それはシステムで解決するのか
  • アナログな手作業で解決するのか
  • こうした事柄について話し合います。リーダ的なポジションの方は概ねこうした細かい部分は苦手としていることが多いでしょうから得意な方が洗い出しを担当します。洗い出したら、その点について再度ブレインストーミングを行う必要があります。これによりサービス提供後の運用体制についてのコンセンサスを初期段階から得ることができます。

    5.他のモデルケースの研究して真似てみる

    余程のことがない限りいま考えているサービスは類似したものが世の中に出回っているはずです。その事業がどういうビジネスモデルでどういう打ち出し方をされていて、どういう営業戦略で展開しているのかを把握しておくことは非常に有益です。それは類似コピーを防ぐことであったり、法的な問題をクリアにすることであったり、事業戦略がぶつかり合うことを避けることにもなります。もしかして既に特許取得済みであるならビジネスは根底から崩れてしまいます。また商号調査も必要です。調査には実際に関係者の意見を聞いてみることが最も有益だと思われます。関係者とは見込み顧客だったりビジネスパートナーだったり、その分野で経験のある起業家や専門家かもしれません。とにかく生の声を集めてくることが必要です。

    6.コアコンピタンスを言語化し説明できるようにしておく

    このサービスがどういうインパクトを世の中に提供できるのか、ということを起業家はよく考えます。また少なくとも、世の中に新しい何かを提供したいと起業家は考えています。その為にはサービスに特徴があり強みが必要になってきます。コアコンピタンスとよく言われますがまさに新サービスの強みは何かを言語化する必要があります。言語化しなければ人の目に留まりません。また同時にサービスを事前に利用してもらえるグループを探しだし、リリースする前にテストを行ってもらうという出発点を作っておくことも重要です。テストの中で思いがけない発見がでてくることも多いからです。

    7.ターゲット市場の設定を明確にする

    ブレインストーミングが始まる時には概ねどの市場を狙っているのかは仮設定されています。そして話が進むにつれて、その市場はどんどん絞られてきます。でもそれがいつも正しいとは限りません。物事は視点が変われば様々な見方ができるからです。色々な可能性がある、と判明した時点で自分たちのリソースでセグメントされたターゲットへのセールスが可能かどうかといった事を話し合うことが有益になります。それは営業体制をどのように構築していくのかという組織の性格を決めることにもなります。万が一現時点では不可能だという判断になっても、将来的な計画に盛り込める可能性がでてくるからです。いいものがあってもセールスができないと売れません。このことをスタートアップは強く意識したほうがいいと思います。

    8.収益計画の策定を行う

    収益計画について考えておくことは新規事業の初期段階においてもっとも重要です。すぐに収益化が見込めるケースも中にはありますがサービスをリリースして提供・運営していくに際し、どのくらいの投資とコストをかけてどうやって売上をあげていくかは体制の問題になるからです。全ての新規事業に当てはまるよう確かな法則はないというのが現実です。

  • 今あるリソースから始めるグループ
  • 新規事業計画を元に投資を呼び込むグループ
  • 或いは自分たちそのものが無報酬で新規事業に乗り込むグループ
  • やり方は様々。ただアイデアを常にブレインストーミングしながらブラッシュアップすると同時に収益計画を描き、さらに徹底的に新しいアイディアがでれば同時並行で収益計画も修正するという作業が必要になります。

    9.役割分担の明確化

    ブレインストーミングを行っているということは仲間が複数人いる、ということです。ここでサービス提供にあたって誰が何を担当するのかを明確にお互いが認識しておく必要があります。何となく暗黙の了解で役割は分担されていると思いますがあえて明確化することで責任感がでてきます。
    そして次からのミーティングでは役割に応じて話し合いが進みます。

  • 営業責任者は営業分野について
  • 事業推進担当者はサービス提供・運用について
  • 責任者は収益計画や事業運営について
  • 財務責任者は資金調達や投資家対応、資金繰り計画について
  • といった具合にです。もし可能なら組織図を起こしてみるのも良いかもしれません。

    10.最後に

    新規事業については企画書を書いてみることをお勧めします。ぼく自身(びっくりする程の数でもなく、がっかりする程の数ではありませんが)それなりに新規事業計画書や新サービスの企画書というものを目にする機会がありました。(もちろん自分でも作成しています。)その中には、伝わりやすい企画書そうでもない企画書と様々ありましたが企画書に起こされている、ということがまずはスタート地点になるのです。
     

    企画書にできない事業は第三者に説明できない訳ですから投資してもらえる機会がグッと減ります。それ以外にも周りの関係者から事業スタートにGOサインがもらえません。頭の中に浮かんでいる、では駄目なのです。企画書ではなくてプロトタイプでもいいかもしれませんが、それだけでは販売計画などが目に見えません。言い換えれば企画書に起こせない状態はまだ事業全体が煮詰まっていないと思ってもいいかもしれません。
     
    ここまでサイクルを推進していくと、人的リソースも含めて自分たちにどのリソースが足りないのかがかなり明確に把握できます。足りない部分は採用計画だったり、資源調達だったり、資金調達なり、それぞれ戦略分野を変えて、戦略立案がなされ実行されていくようになります。
     
    個人的には新しいアイデアを聞くこと或いは新規事業が発展していくのを見ることは非常に好きです。新規事業が立ち上がり事業が拡大していくプロセスというのは何よりもワクワクするシーンです。過去に知り合った人たちの会社が非常に大きくなったり、不幸にして中道で停止したりしていますがいまだに気になります。事業が伸びていくことはとても面白いしその中で学ぶことは非常に多いものです。世の中に価値あるサービスを提供できているという充実感は何物にも代えがたいものがあります。でも、そういうシーンに立ち会えるのはそんなに多くはありません。世の中は失敗した事業の方が圧倒的に多いと思います。失敗に立ち会った人の数の方が圧倒的に多いはずです。それでも遣り甲斐はあると思っていますし新規事業、企業が増えていき新しい産業が興っていくことが経済が活性化していく方法だと思っています。

    まとめ

     
    自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ 

    このリクルートの旧・社訓はベンチャーと呼ばれる企業ではよく耳にする言葉です。裏を返せば機会は与えられるものではないと突き放されているのですが、それでも「自立した個」の重要性を訴えているかのような言葉がずっと頭に残っています。
     

    リクルートは従来の経済界の中では異端児扱いをされていました。そのリクルートも来年度に上場を控えているようです。リクルートが上場するということで起業家、アントレプレナーシップへの見方は変わるのでしょうか。或いは起業家と呼ばれる人材は従来通り異端児扱いをされ続けるのでしょうか。新規事業を行うにあたって何よりも認識しておいた方がいいのは「やったもの勝ち」という言葉であり世界だということです。(逸脱した倫理観はダメです)幾ら企画書を書けてもいくらブレインストーミングがうまくいっても
     
    実行して、結果を出さないと価値は産み出せないと改めて思います。極論でいえばアイディア自体に価値はありません。
     
    「やったもの勝ち」でなおかつ「経営結果」を出したグループが生き残る。「頑張ります」という言葉は通用しません。何に遣り甲斐を感じるのかは人それぞれですが自分がワクワクする場面をこれからの人生でも数多く作りたいと思いますし、数多く立ち会うことが出来ることを願っています。

     

    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう

    最新情報をお届けします