狂気の底から這い上がるのがベンチャービジネスの醍醐味だなぁとつくづく実感する。もちろん地獄が好きなわけないし、狂気の世界がいいとも思っていない。ので単なる比喩なんだけど、スタートした瞬間なんて底も底。その場所からいかにして這い上がっていくか。這い上がっていく途中で、うまくいったことを想像してニタラニタラするとか。這い上がったときの喜びとかを想像してね。そういう世界って「狂気」だと思うんですよ。
いいものが売れるんじゃない。欲しいものが売れるんだ
これに類したことは何度も聞いたことがある。自分も何度も言ってきたことがある。この言葉はどうやらY Combinatorの標語にもなっているみたいですね。でもスタートアップにとって超重要なことだと思う。
人の欲しがるものをつくる、このシンプルなことがすごく難しいのは、ベンチャービジネスをやった人ならきっと誰でも知っているはず。対象となる顧客ですら、自分たちが「なにを欲しい」と思っているのか理解していないことも多いしね。
だからベンチャーは「つくりたいもの」「こうあるべきもの」を作ってしまう。もしくは思い込みで「これいいでしょ」というものを作ってしまうんですよねぇ。10年前これでおもいきり資金を溶かしたわ。思い出すだけで吐き気がしてくる。
まぁそのプロセスのなかで最大公約数を探し回って、答えを見つけた瞬間にいっきに届け始めるんだけど。
なにかに困っている人は必ずいるものだし、問題意識を持っている人もいるはず。だったら簡単に会えるんじゃないか?と言われることもあるんだけど、これがまた簡単なときと、そうじゃない時があるんだよねぇ。ベンチャービジネスにとって重要なのは冒頭のこともそうだけど、資金と時間も重要。しかもこれは毎秒毎に削り取られて減っていくんだよねぇ。

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だから常に「仮説と検証」を繰り返していくことで、削り取られていく速度を可能な限り、スローダウンさせていかなきゃいけない。スローダウンさせるってことは、つまりビジネスモデルを機能させるってことで、機能させるにはビジネスモデルを見つけなきゃいけなくて。そのためには充分な顧客を獲得して、次のステージにいくことを目指さなきゃいけないんだよね。
この状態を抜け出すことって結構大変で。外から見たときには「好きなことやっていていいね」「好きなことだから、大変でも我慢できるでしょ」「自分で選んだ道から大変でも当然じゃん」などの言葉をいただくことがある。まぁすべておっしゃる通りなんですけどね。
一言でいうと「地獄」みたいなものです。「胸の奥はいつもざわついている」「脳内は絶えず思考」して、しまいには何を考えているんだか、いろんなことがこんがらがっていくしね。こういうときって痒くもないのに身体中を搔きむしりたくなる。まさに「今朝のごはん覚えている?」「え?」という状態。
でもね、狂気の底からいかにして這い上がっていくか。這い上がっていく途中にニタラニタラする姿とか。這い上がったときの喜びとかを想像してね。その想像だけが自分を支えてくれるんですよ。だからこの世界にいる人はどこかしら「変態」じゃないとやっていけないだろうなぁ。今年はずっと、このツイートがあたまから離れないわ。。
何としても自分が起点となった事業で利益を出し、その利益をさらに投資することで拡大のサイクルを作り上げる。事業を社会に定着させる。そういう強い意識を瞬間思うんじゃなくて長期にわたって持ち続ける。はじめたら終わらないこの長期戦に耐えることのできるタフな精神力を持たなければなりません。
— 柳澤安慶(二丁目ではヤナティ) (@ankeiy) 2016年7月28日
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