深夜のベランダの扉をあけると、暗い室内に雑多な空気と夜景が飛び込んでくる。

1つ目の部屋は、1Fだったから、カーテンをあけるどころかベランダがないのでなんの記憶もない。

2つ目の部屋は、隣の家の赤いトタンの屋根と目の前の電線を思い出す。この電線は夜中に大ゲンカをしたときに、窓から投げ捨てられたスーツがひっかかった電線だ。電線とおもったので東京電力に来てもらって対応をお願いしたら、線自体はNTTの回線だった。違う会社の線は触れないとのことで、改めてNTTを呼んでいるうちに近所の人があつまってこっぱずかしい思いをした記憶が鮮明にある。

3つ目の部屋は、マンションの前の酒屋さんの看板。ただ左手に目をやると東京ドームホテルのグリーンのネオンサインがみえた。風向きによってはドームでライブがあるとそれらしき音が聞こえてくるときもあった。

4つ目の部屋は、窓の奥に花やしきのスペースショットがみえた。右を向くとまだ工事中の東京スカイツリーがみえていた。この写真の真ん中らへんまで工事が進んでいたときかな。完成してからは行ったことないんだけど。

xegxef / Pixabay

 

ドラマに出てくるような洒落た夜景にはまったく縁がないんだけれど、東京を離れるとこうした「ベランダからの光景」を失ったな。

深夜に帰宅して、当時は吸っていたタバコを吸いながら、静かなようで静かじゃない街のざわめきを暗いベランダからの光景をぼーっと眺めながら聞いているのが好きだったな。なんかすごい地味で暗いけど。それにスペースなんてエアコンの室外機を置いたら2、3歩歩ける程度しかないんだけどね。部屋の明かりをつけないままに、小さな音で音楽を流してただただタバコを吸う。スーツのままで(ときには酔っていて)全身疲労感でいっぱい。

「東京離れて、失ったものってなんですか?」とこの前聞かれたので「ハテ?なんだろう」と考えこんじゃって。その場では答えがでないままずっと考えていたんだけどね。たぶん「べランダで過ごす時間」だな。失くしたものって。てか、移住してもう6年だよ。さすがになにかと忘れ始めているよ。

 

 

 

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著者

コースケ

1994年株式会社インテリジェンス入社。人材派遣事業部門立ち上げに参画。その後情報システム室。2000年同社の株式上場を経て退職。株式会社スポーツデータコーポレーション創業参画。03年、SEOサービス専門会社ファンサイド株式会社設立に伴い取締役就任。役員退任後、個人事務所設立。05年、ウェブマーケティング支援を目的としたコミュニケーション・ウェイ株式会社創業。代表取締役社長就任。翌年、コーポレート・コミュニケーション&デザイン株式会社との合併及び商号変更により株式会社ワークスエンターテイメント設立。代表取締役社長就任。経営コンサルティング/人材サービス分野を軸とした事業展開。2011年代表取締役退任。現在はフリーランスとして複数社の経営推進サポートを行いながら、攻城団の永続化プロジェクトに参加中。