組織は個性の組み合わせ

マーケティングに取り組んでいる部門やマーケティングを専門にサービスを提供している人と話していると結果的には「効率化をどう図るか」という話に落ち着いていくことが多い。そうかと思えば開発分野に携わっている人も同じタイプが多いように思う。

個性が組織に現れる

面白いのはデジタルアド分野。とてもロジカルな人か、勢いで行ってしまえ!的な人か大きく2極化しているような印象がある。マーケティング分野の人からはそういう2極化したところを感じることはあまりない。
 
人だけではなく、組織風土からもこうした性格は読み取ることができる。論理的に物事を推し進めるからこそデータを重視する風土とでも言うのだろうか。「~すべきである」「~でなければならない」といった断定的な言葉に代表されるように物事の定義をしっかりと定めて、その実現に向けて動いていくという行動様式が比較的に強いように思う。

もちろん否定的に言っているのではなくて、軸がしっかりと定まっており言語の定義が決まっていることは、何かを目標として動いていくにはあたってとても重要だとは思う。

価値観の違いはどうして起きるのか

ただこれが事業ミッションの話ではなく対人関係になってくると自分と異なる考えの人が殆どですから色々な考えってあります。(だから同質の人とは気が合うと思うのですよね)
 
ぼくはキャリアの半分くらいの期間は人材関連のサービスに携わってきています。人材サービスというのはどうしても生々しく多種多様な考え方や働き方を受け入れていく必要性がプロセスの中ででてきます。たとえば「Aは誰にとってもAである」と断定して人と相対するというのはサービス提供者としては難しい姿勢になる訳ですよね。
 
ぼくにとってAはAなんだけど、他の人にとってはBなのかもしれないというスタンスでいかなきゃいけない。

こうした自分の考えと、そうではない考えの落としどころをどうつけていくかということについて悩んでいた時にFFS理論というものに出会いました。
参照:FFS理論について

行動様式は人によって違うものだと理解していく

FFS理論については人材分野の方は聞いたことがあるかもしれませんが大雑把にいうと「ストレスと性格の関係」を明らかにし個人の資質を5つの因子に分類し、その強弱を数値化するところから始まります。

数字はどれか一つに偏っているのではなく誰もが平等に5つの因子を持っているものなのですが、その強弱が異なった結果として性格は異なり、行動様式に差異が生じるということ。(それが個性)
 
そして因子数値は外部からのストレスによって絶えず変化する、というものです。これを個性=個別的特性と表現しています。

5つの因子とは
「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」に大分類されます。

と定義されています。水の状態変化の例えが講義ではでてきます。
温度が上昇すると沸騰して、液体から気体へ変化する。温度が下がると液体に戻り、更に下がると凝固して個体になる。という例えが非常に理解しやすいのです。それでも水は水だから本質は変わらないものだという事です。

人材開発関連でよく用いられる性格診断等とFFS理論が異なる点は

という要求に応えるために、研究機関で培わった理論であるということもポイントになってくると思います。
参照:人間関係で生産性が変わる

個人を知る事が組織を理解していく一助になる

個人の分析を行うだけではなく、個人がもつ5因子間の距離を測り、同質性、異質性を把握する。個人と個人の組み合わせたから垂直補完関係、水平補完関係のどちらが生産性があがるのか、といった視点から組織監査をおこなうことができるわけです。
 
また5因子の中から弁別性を除く、4因子の強弱の組み合わせでタイプ分けした人材ポートフォリオが見える化されて、その特性を基に組織運営を考えるという手法が採られることもあります。

詳しいことは提唱元企業サイトに任せるとして、このFFS理論を学ぶためにめっこり合宿を受けて体系的に学んだり、そこでいろんな人と出会ったりしたわけです。
参照:FFS理論の詳細

結果、この理論のおかげで僕はある程度は多様な考え方を受け止めることができたり、「自分は(あの人は)こういう個性を持っているから、こういう場面の時にはどういう反応を示すだろう」ということも理解できる(しようとする)
といったスタンスで人と相対することが徐々にできるようになりました。(それでも相変わらず攻撃的な面も多いのですが)

こうした考え方は組織編成を考えるときや、採用の時にも役立ちます。

誰かと誰かを組み合わせるとチームはどう変化するのか

リーダーシップとマネジメントとは、全く異なる個性であることを知り、個性に応じてマネジメント向きなのかリーダー向きなのかが判明してきます。

マネジメントは維持管理という特性を持っています。リーダーシップは率先して市場開拓することに適しています。マネジメント型の人たちは先行きが不透明だと非常に不安に感じるのですがリーダーシップ型の人たちは先行き不透明だから動き出していくのです。リーダーシップ型の人には動機づけになる環境も、そうではないタイプの人にはプレッシャーや不安の環境でしかない訳です。

個性の違いが理解できると、次はどうすれば強みを活かして生産性を上げることができるのか?という視点で行動を起こそうと考えるものです、組織を編成しようとするのですよね。

「この人とこの人をチームにするとどうしてうまくいかなくなるのだろう」
と思っていたのが
「この人とあの人をチームにするとなんだかうまく行く」
という視点で考えられるというか。

「この人は率先して新規顧客開拓をすることは得意だけれど継続した作業は苦手だから、サポートの得意な人と組んでもらおう」

と考えられるようになると、ネガティブ反応のストレスがなくなっていきます。(全部は無理です。分かっていてもイラつくことはあります)

得手不得手は個人の特性によって左右されていると最初から割り切ることができれば、強みは伸ばしていき、弱みは補完し合うことを考えるようになっていくとでもいうのでしょうかね。またストレス=外的刺激は受けて当然という前提が面白いです。ストレスを受けた時に個性がどう発揮されるかということが個性の表れだと考えていますので長所は短所にもなり、短所は長所にもなる訳です。
 
論理的は機械的になり、道徳的は排他的になり、積極性は衝動的でもあり、順応的は妥協的でもある訳です。なによりFFS理論がとっつきやすいのは個人の価値観や能力に踏み込むのではないところ。あくまでも、思考・行動様式のパターンとその出現をを客観的に把握することにある点でした。これが当時流行していたコンピテンシーモデルだともう少しギスギスしているのですよね。

背景を知ろうとすることの重要性

話しが大分それてしまいました。
個性と個性を組み合わせる、という観点で組織を見ているとスタートアップ企業の経営メンバーの個性の組み合わせであったり、取り組んでいる事業の性格によって企業風土も培われていることが理解できまます。
 
創業期の企業の経営陣を役割分担によって眺めてみると興味深い補完関係があることが面白いものです。また製薬会社やコンサルティング会社、或いは広告代理店でもロジカルな社風とアナログな社風では組織を構成する人たちの個性が大きく異なるところがとても興味深い訳です。

ここに単に「力を合わせて頑張りましょう」だけでは解決できない能力の発揮条件をどう整えていくのかということを考えていく面白みがあるのかなと思います。

冒頭に戻りますが、こうした考えをベースにすると
 
Aは僕にとってのAだけれど、他の誰かにとってはBになる。ではどうして他の誰かはBだと思うのか?
 
という背景を読みとる、推察することができて多様な考えを受容することができるようになってくるのです。
 
もっというとその事業部のトップが、どういうキャリアを持っているのか。どういう組織を渡り歩いてきたのか。という背景を知る事で組織が打とうとする戦術が見えてきたり、実行されるタスクをある程度は推察し読み取る様に努めることができるようになってきます。
 

By: Nicolas Nova
人材ビジネスにおいてこのスキルって非常に重要なものです。頭ごなしに否定されると人は反発するもの。
 
否定することはあまり意味がないことでどうしてこのアウトプットが導き出されたのかを探ることの方が自己に寄与すること大なのです。まぁこれは人材ビジネスでなくとも同様だと思いますが。
 
当人でない以上、すべてを正確に知る事は難しいものですが、背景を読み取ろうとすることは、やってきたことへの理解や取り組もうとしていることへの共感。なぜこの発言があるのか、ということを理解することに役立つはずです。
こうした視点を昔は千里眼と言ったのではないでしょうか。

あとは対人関係のことだけではなく、そもそも自分の強み、弱みも理解するわけですから不要なプライドを横にやって自分の弱みを補完することを人に委任できることでしょうか。案外こうしたことができず仕事を不要に抱えてしまったり自分自身が組織のボトルネックになっているケースは多いような気がします。

個性の組み合わせで組織が変わるということ

データがすべてを予測できることもないでしょう。予測できないことの方が実際には多いものです。何かを行う時には様々な考えや利害関係が絡んでくるものです。こうしたことを考えるとデータからは予測できないこと、或いは複数の答えが導き出されることに対して決断をしていくのがリーダーシップを持つ人の役割なのだろうと思います。
 
そしてマーケティングから得られたデータは、その判断を促すための情報と因子を算出する非常に重要なモノだと思います。その情報をもとに仮説を立案するスキルがサービス提供者に一番期待されているものなのでしょうね。(だから機能していないパーソナル機能には嫌悪感がでてしまうものなのかなぁ)

ところでペルソナって個人的にはあまり好きな手法ではないのですが、設定しなきゃいけない時ってやっぱりありますよね。その時にもこうした個性や行動様式についてある程度の知識を持っておくとペルソナを推測する際に非常に役に立つわけです。だけじゃなくても背景を読み解く力って必要ですし、だからこそ不用意に異なる意見を否定してはいけないのだろうなとも思います。

そこでFFS理論的にマーケチームの組み合わせを考えていくのであれば

「当社は~であるから、~をすべきである」という前提定義を定める人がいて方針を決め「ドンドン取り組んでいこう」と行動を促す人がおり「データ取得の手順やフローを設計し、かつ運用を担当する、或いは全体のブレーキ役」の保全性の高い人がサポートに入る。
 
そんな組み合わせだと案外うまく行くのかもしれないなぁと思いました。ちなみにFFS理論についてはあまり書籍がでていないので、無料セミナーなどに参加されてみるのが良いかもしれません。背景には複雑なデータが動いているのかもしれませんが学ぶことはとてもシンプルなので頭にも入ってきやすいです。

学ぶで思い出しましたが、届いた「日本の城」読まなくちゃ。アレ見ていると竹田城って行ってみたくなりますよね。


 

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