自分のEvernoteに保存したメモを、ウェブ上に公開できるCilantroってサービスを使っていくつか公開していたのだけど、サービス終了しちゃったらしいので、転記して公開します。
 
ここ2年位企業の組織戦略についてちょっと調べたり、聞いたりする機会が増えてきました。その流れの中で厚生労働省とか経済産業省が懸命に取り上げているいわゆるお墨付き銘柄。具体的に言えば、なでしこ銘柄とか健康経営銘柄に指定された企業の開示情報をチェックしたりもしています。

属性を増やす=ダイバーシティ?

 
これがまぁ見事にPDFファイルを載せているだけとか、具体的な施策と効果の開示がないんですよね。銘柄指定はどこの情報をみて選定しているのかとっても知りたい。業種ごとに1社とか2社の選定らしいので、相対評価を行っていることは間違いないだろうとは思うんだけどね。

各社の開示情報を見ていると、多くの企業が

  • ダイバーシティ
  • 女性活躍推進
  • について謳っているわけです。この辺は少子高齢化が進んで、多様な人材を確保する必要があって、そのためには

  • 働きやすい環境
  • 復職しやすい環境
  • を作らざるを得ないという中長期的な展望と同時に、2014年に内閣府からでた改訂日本再興戦略が影響しているんだろうなとは思う。
     
    もちろんそのずっと以前から取り組んでいる会社はあるわけだけど。女性活躍推進も内閣の方針、その背景には国際的な要求があってのことだという事自体多く語られている。もっと振り返れば高度経済成長期に遡る。

    ダイバーシティってのは本当にいろんな取り組みを各社が行っているんだけど、指定銘柄の数十社を見ただけでもなんとなく共通項があって。それは女性活躍推進の枠組みの中での

  • 出産、育児支援
  • 子育て支援
  • が中心になっているってこと。寿退職って言葉があるくらい、ライフイベントが起きたら退職することがセオリーになっていたんだなぁと改めて感じるよね。
     
    更にはイクメンパパってことで、男性の育児休暇取得率を開示している会社もある。これはとても素晴らしいし、啓蒙活動にもなると思う。
     

    意識変革ってのはとてもやっかい

     
    だけどねぇ、やっぱり今までの組織のあり方、仕事の進め方、給与テーブル、なによりもマネジメント層のマインドのままじゃ、いくら制度をつくったところで、いくら啓蒙したところで難しいと思うんだよね。まずもってミドルマネジメント層以上の意識変革が必要。この意識変革ってのはとてつもなくやっかいですよ。
     
    それに先日もこうした件で退職された女性が東洋経済に取り上げられていたけれど、多くの女性が今までの企業の組織ヒエラルキーに飛び込んでいくことを望んでいるのかという疑問もあるし、そもそも働き方の選択肢が少なすぎる。

    ダイバーシティや女性活躍推進について、ウェブサイトみながら、あくまでそこから得た情報だけで感想をいうなら、政策や社会背景に紐付いていて推進するのはとても重要なんだけれど、とても建前的だなぁと思うこともあるんです。

    経営者からすれば数少ないリソース(として見ている)、つまり知的資産として位置づけられる人的資源についてはきちんと考慮しないと、万一離脱されたらノウハウも組織力も何もかもがダウンしてしまうということ位は、当然考えているはず。

    そのためのチェックポイントとして社員の健康に留意しましょうってこともごく当然の流れでしかない。
     
    そもそも健保組合の赤字具合や医療費の高騰を知っていれば、医療費の抑制と従業員一人あたりの福利厚生充実を若干上げてでも、離職に関わるコストを抑えたいってのは当たり前の話になる。こうした様々なコンテクストが積み重なった上で、(働き手減少の背景もありますが)好む好まざるを得ずにダイバーシティだとかの類、ワークライフバランス(ワークライフハーモニー)といった視点も需要がでてきているんだと思う。
     
    外的環境に適応して意識を変えなきゃいけないってのは、論としては当然なんだけれど、実際に変化を求めるのはとっても難しいよね。赤字企業なのに、社員が危機意識がないなんてのはよくある話しです。結局は自分がその危機に直面しない限り、変化を受け入れることは難しいよね。
     
    「損か得か」って判断を迫られるときに、少なくとも「損しない方」を選択するもの。得するかどうかわからないことには手を出しにくいですよね。
     

     

    異質を受け入れる企業文化はありますか

     
    前置きが長くなったんだけど、「ダイバーシティに取り組みます」といったところで、でこうした社会背景や、理屈めいたことでは何も定着しないと思うんです。ダイバーシティって、多様性と訳される事が多いんですが、いま所属している人からすれば、同質ではなくて、異質が自分のテリトリーに入ってくるんですよね。

    ということは、その”自分にとっての異質を受容すること”が、最初のハードルになるわけで。人が二人集まれば組織ですから、組織が従来にはなかった異質を受容しなきゃいけない。受容するには忍耐性が必要。受け入れて「さぁ、どうする」って考えることをやらなきゃいけない。
     
    それをね、研修だとか教材で社会背景を伝えたところで、あるいは「会社の方針ですから」といったところで、人は変化できるものなのだろかと思うわけです。

    これって企業文化って言っちゃうと簡単すぎて思考停止になっちゃうから、まずは「企業文化」を再構築しませんかって話になるんだけれど(これだけで一晩話せますね)、まず手立てのひとつとして、適材適所の配置が選択の1つになるんじゃないかな。

    つまり人の個性を何かしらの指標でもって測定して、異文化を受け入れることができる要素が高い集団に、多様性をもった人材を配置するというチーム編成方法ですね。職種ありきじゃなくて人の個性ありき。

    どうしても職種が見つからないとかの課題は出てくると思う。また入っていく方が依存度が高い人だと、受け入れ側のフラストレーションも沸点に来るのが早くなってしまうと思う。そういう課題はありつつも、こうしたチーム編成で多様性を組織内に取り込んでいくってのはどうかなぁ。

    課題はその取り組みと収益の因果関係/相関関係。取り組むってことは効果を期待するわけですし、少なからず投資が生じるわけですから。
     
    この領域については、従業員の健康や制度が企業収益とどういう因果関係になっているのかをコホート研究が始まっていたり(米国では以前から取り組まれている)、企業理念(と戦略戦術との整合性)が収益と企業風土に与える関係調査もあるので、1年後、2年後にその結果を知りたいところです。

     

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