資金調達の種類とポイントをざっくりまとめた

先日もちょっとMessenger経由で資金調達について相談をされました。全然財務分野でもないし、正直それほど詳しくはないのですが、まぁ10年近く経営の場面にいたことで資金調達に関係する仕事を行ってきました。実際は調達どころか、資金繰りも含めてなんですけれど、まぁスタートアップベンチャーに限らず企業を持続させていくには、資金調達は避けられません。
 
ちょうどいい機会、というのも相談されたことで色々思い出したということ。また自分も今後もう何回か資金調達に関係するかもしれないなぁと思い当たるフシがあるので、ちょっと資金調達に関してまとめておこうと思います

By: Simon Cunningham
By: Simon Cunningham

資金調達の方法は3つ

  1. 負債増加としての調達
  2. 資本増加としての調達
  3. 手持ち資産の現金化
この3つが資金調達の方法になります。
 
スタートアップの際は最初に2、つまり自己資金を資本金することから始まります。といってもいまは限りなく資本金なしで会社設立ができます。売上がすぐに経つのであれば、資本金なしのままでも構いませんが、大体は数ヶ月から長ければ数年間「会社が使うことができるお金を調達」する必要があります。 
法人の種類と特長 icon-external-link 

手持ち金がないから、資本金なしで会社設立を行うケースが増えてきているのですが、次に考えるべきは「どの方法で資金調達を行うか」ということです。

負債増加としての調達

負債ですから「返さなければいけないお金」を調達します。つまり借金です。この場合方法は2つあります

  1. 社債の発行
  2. 金融機関からの借入

社債の発行

社債発行は、普通社債と新株予約権付社債を発行します。ただどちらも会社の信用力が重要です。普通社債は、予め約束した利回りを投資家に支払う「固定金利」の債権。信用力が低ければ金利は高くなりますし、信用力が高ければ金利は低くなります。

新株予約権付社債は「ワラント」とも呼ばれる社債で、社債発行元企業の株式を決められた価格で購入できる権利がついている社債のことです。いくつかの種類がありますが、選択肢として「社債として回収」するか「株式に転換」するかを投資家が選択できますので、投資家に取って有利な条件で発行されることが多いです。

 

金融機関からの借入

もっともオーソドックスな資金調達です。最近地銀や商工会議所が「創業支援」を行っているのをよく見かけますが、この場合は金融機関からの創業融資が前提になっています。そのために事業計画書を作成するセミナーがセットになっていたりしますね。

創業時あるいは創業間もなくて、企業信用力がない場合は「担保」を求められます。担保は土地家屋などの資産価値があるものを求められます。で、たいがいそうした資産はありませんから、「代表者個人の保証人」及び「連帯保証人」を求めれられるケースが殆どです。
 
 

はじまりは「信用保証協会」付きの借入

「信用保証協会は?」そうです。信用保証協会は、中小企業がスムーズに資金借入ができるように担保や保証人のない中小企業が一定額の保証料を支払うことで、金融機関から融資を受けられるようにすることを目的に設立された特別法上の法人です。ですので、原則「保証人になる必要はない」のですが、殆どの場合「代表者個人の保証人」を信用保証協会は求めてきます。
 
銀行は担保なし、保証人なしの企業にはほぼ貸出してくれません。そこで信用保証協会の保証をつけることで借入の難易度は一気に下がります。信用保証が行っている保証制度は各都道府県の保証協会が開示しています。

保証制度一覧(東京信用保証協会) icon-external-link-square 
ぼくの住んでいる石川県信用保証協会の保証制度 icon-external-link-square 

各都道府県で特長があったり、低金利の融資が多くあります。借入申込する際には事業計画書が必要です。また付随書類として会社説明資料や、サービス案内、役員略歴データなどもあると話がスムーズに進むことがあります。信用保証協会のメリットは長期経営資金保証制度といって長期融資を受けられることです。借入には短期と長期がありますが、CFのことを考慮すると毎月の返済額が低くなる長期借入を選択したいところです。

ぼくが一番経験しているのは、このパターン。当時は経営革新計画 icon-external-link-square の承認を得ることで、若干有利な条件で借入を行っていました。また借入申込の際には、ドキュメントが必ず必要になります。こうしたドキュメントの作成も担当しています。
非財務情報を見える化できる組織 icon-external-link 

資本増加としての調達

スタートアップベンチャーが資金調達を行うことがニュースになるように、投資家、主にベンチャーキャピタルから株式の発行によって資本金を増加させる方法です。ベンチャーキャピタルからの調達に関しては、こちらのスライドがとてもわかり易いです。

ベンチャーキャピタルからの出資を受けるには事業計画書が必須です。またどのベンチャーキャピタルと話をするかも重要です。殆どのベンチャーキャピタルは組織としての特長を持っています。

  • アーリーステージへの少額投資が得意
  • ハンズオン型で著名なキャピタリストが在籍する独立系
  • 事業会社の一部門として運営されている
  • 金融機関系ベンチャーキャピタル
  • 各社がもつ組織的な背景によって、在籍しているキャピタリストのカラーや企業文化が異なります。その違いによって自分たちのビジネスに対する理解が早い、深い、シナジー効果があるといった差異が生まれます。この辺りはどこのベンチャーキャピタルと話を進めるのかということを考慮するにあたって、経営陣できちんと話を整えておきたいところです。
     

    By: GotCredit
    By: GotCredit
    ちなみにぼくがベンチャーキャピタルから調達したケースはざっくりいうと次のような感じです。

  • 取引先銀行に紹介をお願いした
  • 知人経由で紹介をお願いした
  • 最終的には5社と話を進めて、3社から出資してもらった
  • 出資に至るまでの流れは大雑把にいうと次のような流れでした。

    1. 大まなか事業計画書や会社案内、役員プロフィール等による紹介
    2. 顔合わせの後、秘密保持契約書の取り交わし
    3. VCの要望に応じた追加書類の作成
    4. 顧客、パートナー企業へのリファレンスヒアリング
    5. 投資契約書の文言交渉
    6. 投資委員会での面談
    7. VC内での決定
    8. 払込及び株式事務

    最初の事業計画書を含むドキュメントは1式をセットとして作成しておきます。まぁこれは金融機関からの調達の際にも必要ですので同じですね。
     
    ベンチャーキャピタルを始めとして、役員や社員以外の第三者から資本として資金調達する際に気を付けなけれないけない点がいくつかあります。まずメリットとしては

  • 資金の返済義務がない
  • ということです。借入ではなく出資ですから資本金に組み込まれますので、当然ですね。また株式発行を行うわけですから、例えば一株100,000円で発行した株式が、決算期に120,000円に上っても差額を支払う必要はありません。「配当」に関しても事前に決めておけば問題がありません。ちなみにベンチャーキャピタルの期待するところは配当ではありません。

    ではデメリット(と感じるポイント)は何でしょうか。最も大きいのは

  • 会社経営権をコントロールできなくなる可能性がある
  • ということ。株式会社は持ち株の割合に応じて株式総会の議決権が認められます。株主総会で決議すべき事項というものが会社法で決まっています。

     
    合同会社と株式会社の違いでも認めましたが、経営陣の意図しない株主移動や、企業合併の提案といったことも発生する可能性があります。また取締役選任も株主総会で決議する必要がでてきます。

    こうしたことを理解した上で、「どのような株式を」「いつ誰に発行するか」「それはどんな種類の株式か」ということを計画します。これが資本政策です。資本政策のミスはそのまま経営に影響を与えますので、慎重に行う必要があります。
     
    またベンチャーキャピタルによる出資を受ける際には条件も確認する必要があります。

    1. 個人保証をつけることを求めてくるケース
    2. 配分比率が多すぎて意思決定が社内でできなくなった

    ベンチャーキャピタルは経営を支援してくれる心強い仲間でもありますが、「xx年以内に、株式上場もしくは準ずるイグジット」を期待して、投資契約書にも文言を盛り込んでくるケースがあります。
     
    投資を回収することがベンチャーキャピタルの事業目的ですから当然といえば当然なのですが、その際に期待通りに行かなかった場合の「株式買取」に関する事項が盛り込まれます。こうした点も予め理解して、交渉に臨むことをおすすめします。
     
     

    手持ち資産の現金化

    これはまず現金化できる資産が必要になります。不動産もそうですが、例えば一つの事業部門を売却するといったことも該当します。ただし現金化には時間がかかるのと、当人が想像しているよりも減額されることが多いようです。

    資金調達のその後は

    資金調達手段として、どれを選択するのかは需要や、緊急性、将来の事業計画など様々な要因によってベストかベターを選択します。巷を賑わすのは、スタートアップベンチャーの大型資金調達の話題ですが、資金調達が会社経営のゴールではなく、マイルストーンでしかありません。

    そのことを理解して、自分たちにあった調達方法を選択していきたいですね。

     

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