データを情報にする:PDCAの前に

前回のエントリーの中で事業開発に関する業務ステップを
8つに分類し、その最初を
1.現状の把握と分析
としましたので、まずこのステップにフォーカスしたエントリーを
書きおこしてみたいと思います。
参照:組織の背景を理解する-PDCAの前に-

データを情報にする

PDCAサイクルを回すためにはPlan=計画が必要になります。
この計画を作るためには、現状把握を行うことが必要なケースがあります。
把握する分野は大きく分けて3つ

・経営情報的な数字
・営業情報的な数字
・人的観点での情報

です。これらを依頼された案件の性格や企業の置かれた状況に応じて
秘密保持契約書を交わした後に、一緒に話をしながら共有化させていただき
そのデータを可視化し情報としていくことで
プラン作りのネタを構築していきます。
散らばっているデータを情報にする作業という言い方を最近しています。

経営情報的な数字の把握

最初に教えていただいて把握するのは会計情報になります。
例えば例を挙げてみますと
・B/S、P/L、CFの情報
・顧客別の売上/利益
・商品(サービス)別の売上/利益
・仕入先別取引管理台帳
・在庫回転率の変化
・従業員一人当たり売上高/利益高/利益率/販売管理費
・販売管理費明細
・営業担当者別経費管理台帳
などなど。
要するに財務会計と管理会計的な視点からの数字情報です。
そしてこの数字を四半期別で、なおかつ前年同月比で管理されていることが好ましいです。
ただ自分が今まで携わってきた会社でそこまで比較管理されている企業はあまりありませんでした。
株式上場やそれに準ずる会計の仕組みを取り入れている企業なら話は別ですが
一般的な企業や店舗であれば販売管理システムか財務会計システムを導入すれば
月次会計処理はそこで完了します。
あとは経営陣の感覚値という値でカンピュータを動かせば万事OKなのです。

「え!」と思うかもしれませんが、案外管理会計的な視点から
経営情報分析を行っている中小企業は案外少ない気がします。
メディアに登場するような企業は当然行っていると思いますが
そうではない企業の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

こうした情報推移が見れないのであれば、Excelなどで表を作りながら
数字を把握するという実務的なタスクを行います。
これにより数字情報の経年変化、利益率の変動や商品別の利益額の動き
1人当たりの生産性などを把握できますので、凹みの要因を把握できるようになります。
(契約している顧問税理士さんがやってくれるケースもありました)

営業情報的な数字の把握

これはもうアレです。
・顧客数推移
・顧客別売上/利益単価
・顧客別案件発生数
・見込顧客発生件数
・受注率
・見積書発行件数
・チャネル別新規顧客獲得件数
・1人当たりのKPI情報
・組織全体のKPI情報
・ウェブサイトのPV/CTR/CVRなどの情報
などなど見込顧客を見つけるチャネルから受注して
入金されるまでの一連の流れを因数分解し、それぞれの数字情報を把握します。
営業一人ひとりに割り当てたものの総和が
組織全体の数値となりますので非常に判りやすい情報です。
成果をあげる営業がやっているPDCAでも書いたように
項目が数字情報で網羅されていると良いのですが
CRMなどの営業情報システムが導入されていることは少ないので
これも大概の会社が把握していませんでした。

良く考えてみれば、労働力の少ない中小企業ほど受注率を高める必要があるのですから
見込顧客から既存顧客までの営業情報をしっかり管理運用して
タイムリーにコンタクトを取ることで機会損失を減少し
受注率を上昇させることが出来るような気がします。

人的観点での情報

営業に関する各役割を組織内の誰がどこまで担当しているのか
それぞれの予算目標がどうなっているのかなどを組織図に起こしたりします。
ここで上記の1人当たりの生産性などと紐付けを行っていきますし
この後立案する仮説をどこの組織に担ってもらうのか
部署を新設するのかなどのディスカッションに用います。
よいアイディア、資産があっても動かすのは人ですので
人的マネジメントの部分は非常に重要になってきます。
またインセンティブ制度や決算賞与などの報酬に絡む制度
特別休暇制度の有無や労働時間などの確認を行っていきます。

定性的な情報と定量的な情報

上記のヒアリングなどを通して
共有すべきデータなのに共有されていないデータ
集約されていない情報や有効活用されていないこと
といった項目が見え始めてきます。これは聞き手の自分が分かるだけではなく
経営陣が第三者に話をしていただくことで、自ずと気づいて頂けることが多かったです。
また業務フローの全体図も見えてきますので
この次にやるべきことが明確になり始めてきます。

ただし残念な情報もでてくる

残念な情報とは、不明瞭な貸付であったり無駄としか思えない経費であり接待交際費などの発覚です。
昔ほど経費が使えなくなったといっても削れるところはあるものです。
また不要な飲み代などは往々にしてあるものです。
出血を止めるためには社内に広報しなければなりません

前向きな情報も勿論ある

業務フローの中で、どこが不足しているのか判ってくることで
何に手をつければいいのかが明確になってきます。
例えば新規顧客開拓力が弱いのか
顧客のリピート率が悪いのか
利益率の低い商品ばかりを販売していたのか
情報の分断が起きているために効率が悪いのか
は顧客に自社のサービスをうまく伝えることができていないのか
などです

こうしたことを踏まえて資産の棚卸しに入る

資産とはB/Sなどの会計情報に出てくる数字だけではありません。
組織がもっているノウハウ、個人が持っているノウハウ、歴史など
無形資産とも言われるモノです。
資産だけれど組織として活かしていない
「顧客に伝えることができる資産」を洗い出します。
御社の強みは何ですか?と聞かれることが多いと思いますが
まさしくこれを項目或いは人別に表に書き出す作業を行います。

数字情報について

会計的な数字情報やキャッシュ状態、経営情報的な数字については
案件の性格によっては頂かないこともあります。
そこまで開示したくないという経営者の方もいらっしゃいますので
どの情報を共有化するかはケースによって変化します。
ここまで全部を把握する場合は

「経営状況が深刻に悪化しており、火急を要する」

というケースだと思います。

それよりも実際に相談が多かったのは
「新規顧客をより開拓したい」「見込顧客を顧客化したい」など目標が明確なケースです。
この場合は業務フローとそれに紐づくKPI情報を最初に確認することで
次の目標設定が行いやすくなります。
このKPIの中に「チャネル別新規顧客獲得件数」とか
「ウェブサイトのPV/CTR/CVRなどの情報」の現状把握が入ってきます。
そしてウェブサイトのアクセス解析というのは大体の会社がやっていませんでした。
勿論そこを意識していれば企業ブログに無料ブログは使ってないと推測されます。
(きちんとアクセス解析できないですしね)

何の為に現状把握を行うのか

ここで現状を把握するに際して重要なことは

・経営状態を可視化し数字化することでデータを情報化する
・情報をもとに智慧を出す環境をつくる

という事ではないでしょうか。
分析を行うのは、何かを可視化して問題化することが目標ではなく
改善に向けて組織を動かす方向性を見つけることが最初の目標になります。

ということでここまででそれなりの時間を要するのですが

次回は
2.分析から仮説を想起する
3.数字情報以外の資産の洗い出し(正負含めて

をエントリーしてみようと考えています。


 

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