最大化と利便性のその先に

消費者、購入者から自分たちが選ばれるためのステップとしてまず自分たちの事を知ってもらう必要があります。認識をされていない以上、物事はどの方向にも進まないのですから見つけて貰うためのコンテンツという仕掛けが必要になってきます。
 
そして自社の考えや姿勢、サービスに共感をもってもらい納得してもらい、次に継続的にウェブサイトに訪問をしてもらうか、あるいはパーミッションを得たうえで、必要としている情報を適切なカタチで届ける。信頼関係を作り、最終的に選んでいただく必要があります。 
選んでいただいたのちも、しっかりと正面から向き合いサポートを行い双方にとって良い関係を構築していくことが必要なのではないでしょうか。

売れる仕組とは選ばれる仕組

大雑把にいうとこれが「売れる仕組」なのではないでしょうか。言い方を変えてみれば「選ばれる仕組」。事業者サイドから積極的に見込顧客を探しに行き、リストアップを行い、メールなり電話なりを介して、受注度合いに見込をつけて、クロージングしていく…。
 
これはどちらかといえば「アウトバウンドセールス」的な仕組みで「売るための仕組」でないかなと思います。展示会に行って名刺を集めたり、ウェブで情報収集しリストアップしてテレマコールをかける..というのはいかにも営業系の会社っぽいやり方ですよね。

過去キャリアが教えてくれた仕組みづくり

ぼくは過去のキャリアの中で半分くらいの時間を占めている人材ビジネス分野に関わることで上記のような「売る仕組」も経験しました。そこから「売れる仕組」に関する考えを持つようもいたりました。もっと厳密にいうとキャリアの前半はアウトバウンドセールス的な会社に所属していたのですが、SEOビジネスを立ち上げるに至って「売れる仕組」という発想に触れ、一定のボリュームで自分たちの組織にもその仕組みを構築する必要があり
以来ずっと「売れる仕組」を構築するにはどうすればいいのかという視点で事業に携わってきました。
 
ちなみに当時、一定数はアウトバウンドコールを実施し、一定数は問合せを獲得するという並行したセールス体制を行っていました。SEO会社がテレマコール営業100%の体制を敷くとは考えたくない現実ですね。SEO事業には既にふれていますのでここでは人材ビジネスに関して触れてみます。
 
人材ビジネスでは人材派遣業と人材紹介業に関わってきました。ご存知の方は知っているように事業スキームとして差別化が非常に難しい分野です。各社の違いは何なのか、どこに差別化ポイントを置くのかとなると特化している分野、例えばIT系とか、医療系に強いという専門性はさて置き

  • 求人情報のボリュームの最大化
  • ウェブで完結するタイプのサービス
  • コンサルタントの知見
  • とこの3点に集約されると考えています。
     

    By: woodleywonderworks

    最大化を狙うという戦略

    この中で”求人情報のボリュームの最大化”を実行するには企業担当者の人数が必要になってきます。最大化を図るためには顧客接点数を限りなく増やす必要がありますから、必然的に情報を獲得してくる人数と拠点数が必要になります。(リブセンスやgreenのような成果報酬型求人広告モデルは除きます)
     
    そして求人情報が集まってくると情報も集まってきますから求人情報の最大化=情報の最大化にも繋がってきますね。情報を持っている側と持っていない側には開きが生じますので、当然のことながら情報を所有する側の方がビジネスを拡大しやすくなります。

    更に最大化戦略を取るには資本というものがどうしても必要になります。この戦略を新規参入の会社が取るのか、というと中々選択しにくいですよね。

    利便性を狙う戦略

    “ウェブで完結するタイプのサービス”についてはこれから新しい仕組みがドンドン出てくると思われます。実現するには優秀なエンジニアの確保が必要な条件になります。更に経営陣がテクノロジーに関しての理解とソーシャルへの理解及びリスクを理解している必要もあります。Linkedinの日本市場での動きを見ている限り可能性はあるものの、マネタイズが難しい領域だと思われます。

    共感される仕組みを作るという戦略

    こうした背景の中、多くの中小人材サービス会社が打ち出しているのは、”コンサルタントの知見“を訴求するという戦略を採択しているのではないでしょうか。
     
    「情報爆発」時代に企業に入り込んで自分だけが知っている情報を確保することは困難です。1人や2人ができていても複数社が持っていることで既に差別化には成りえません。またユーザーの方も色々手段をもって多くの情報を収集できるスキルを持っています。これを補うのが1の情報の最大化なわけですが、反面「自分だけが知っている」ことを確保するのは大変なんです。
     
    そこで各社はコンサルタントの知見、つまり経験や視点、キャリアコンサルティングに関する手法や組織としての姿勢を差別化ポイントとして打ち出すわけです。業界を外から見てみるとコンサルタントの知見を差別化ポイントにする
    と一言でいっても各社様々な切り口を打ち出しています。

  • 行きたい企業への道を切り開いてくれる人
  • キャリアカウンセリングをしっかり学びコーチとなってくれる人
  • 文字通りエージェントとしてあらゆる交渉を不足なく進めてくれる人
  • 転職者の立場に立って物事を進めてくれる人
  • 俯瞰した目で新しい知見を伝えてくれる人生のコーチのような人
  • スピード対応を前面に打ち出している会社
  • 様々な人材紹介に登録にされた経験がある方、ヘッドハンターと呼ばれる人たちに接したことがある方はお分かりかと思いますが、人によって会社によって個性が異なるはずです。持っている情報量も質も異なりますしノウハウも全く異なります。
    何よりも事業に対する姿勢が大きく異なっています。この異なる個性こそが企業の特色であり、訴求していくべきポイントなのです。大したことないな、という評価を受けているのなら、それはそれで改善に向けて取り組むべきポイントなのでしょう。

    選ばれるためにどうすればいいのか

    資本力もなく、戦力の多方面に展開もできない企業は、例え局地戦で競合会社に勝ったとしても自社の個性を訴求していかなければ

  • 最大戦略を取っている会社
  • ウェブで完結する簡潔なサービス
  • に戦略面で比肩することはなかなか難しくなってきます。つまり多くの転職者からすれば”その会社のコンサルタントに相談する意味が見いだせない”のです。ということは逆に考えるなら”相談する意義を見出してもらう”もしくは”事前からその会社を知っていて、選択肢に入れてもらう“必要性がある訳です。

    ここで冒頭に記したことがまず一番最初に行うべきことになってきます。

    1. 選ばれるために、自分たちの事を知ってもらう必要がある。
    2. そしてその考えや姿勢に共感をもってもらう必要がある。
    3. その為には継続してウェブサイトに訪問をしてもらうか、パーミッションを得たうえで、必要としている情報を適切なカタチで届け信頼関係を作り、最終的に選んでいただく必要がある。

    ということですよね。じゃあ「コンテンツだけを作ればいいのか」といえばそうではありません。やはり一定の求人情報数は必要です。そうでないと期待に応えることができませんし、会社側にとってもボランティアになり、双方ともにいったい何のために会う事になったのかという結果になってしまいます。

    この人材サービス会社にとって最強のコンテンツである求人情報。これは企業側で採用が完了すると掲載終了となりますので、その時点でURLはクローズになっていきます。となると求人情報そのものをコンテンツとして育てていくことは中長期に考えると難しい訳です。
     
    そこでどういうコンテンツを用意し、転職希望者或いは潜在的な転職希望者に自社をどう知ってもらうのか。どうやって見つけて貰うのか、ということに知恵を絞る必要があります。そしてどうリピートしてもらうのかということを考える必要があります。この時点で人材会社はマーケッターにならざるを得ないのです。

    あとはこの前提にたって自社が保有しているメディア資産を洗い出し、コンテンツを制作し更新し、そして見つけて貰うために一定の投資によるプロモーション(殆どがリスティング広告です)を行い数多くある中から自社のコンテンツをなんとか見つけて貰い、コンバージョンすることを期待していくことになります。
    いうなれば

  • リスティング広告⇒顕在ニーズに対応する
  • 検索エンジン等で流入を確保する⇒潜在ニーズに対応する
  • という風に弁別できるのではないでしょうかね。

    いずれにせよ何よりも大事なのは転職を希望される方々、紹介先である企業の担当者、そして関係者に支持される考えと姿勢。そしてノウハウを持っていることが重要な差別化要因になります。その結果、愛される組織となり、認知度も高まっていくことになります。(自社が認知されているかどうかは社名検索でサイトに到達しているかチェックすれば分ります)

    企業姿勢が実務と結びつけば収益はあがる

    そして人材派遣業であればリピートということもあるでしょうが、転職サービスの場合、(企業側のリピートはあっても)求職者のリピートはない方が双方共に良いはずなのです。となると最近IMJさんが行っているような「NPS(Net Promoter Score)」
    などの指標調査を導入して満足度やロイヤリティ調査を行ってみてもいいでしょうね。(Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。)

    人材サービス会社が多く集まっている集合サイトを見ると、各社のPR項目のテキストとして感性に訴えかけるようなフレーズが多く並んでいます。中を少し見てみるだけでも顧客満足度や転職希望者のパートナーということを標榜する人材サービス会社は多くあります。その指標を掲げるのであれば、その指標についてはきちんと数値化すべきです。
    それが従前から触れてきたKGIに結びついてくるはずです。

    こうした企業姿勢が収益に結びつくという事は例えば星野リゾートや加賀屋、ザッポス、スターバックス等の組織が証明してくれていますし他にもきっとたくさんの会社があるはずなのです。すべての施策をここにつなげるように意識し、業務プロセスを設計してもいいと思います。この他にも直接の取引先である企業に対する施策というものも必要になってきますがそれはまたの機会に。

    自社に対する顧客や従業員のロイヤリティを測定るするNPSという指標について提唱されているg本。事例も載っていて理解しやすい。万能ではないけれど曖昧なCSRという概念にこうした指標を取り入れるのは面白い

     

    自分たちのノウハウ、個性を明確に打ち出してみよう

    人材サービスを例に「売れる仕組」を構築していくための前提となる考え方について書いてみましたが、自社の考えや姿勢に共感をしていただき具体的なサービスを提供すること。その後の(例えば)NPSを指標として設定するという流れを導入すると、すべての人に共感してもらう事は諦める必要があります。

    でもその漏れてしまうことを恐れて自社の価値観、考え、姿勢を明示しないのはあまりにも勿体ないことでしょう。その結果、全方位型で進めてしまい何の個性も見出せなくなってしまっては元も子もありません。企業はやはりきちんと自社の姿勢を打ち出し、個性を明確にするべきです。じゃあないと消費者の選択基準は「プライス」だけになってしまいます。

    ということで個人的なキャリアでいえば過去に事業者として経験してきたことが、いまに活かされているわけですが当時こうした考えていたことが全て実現できていたわけではありません。その考え方を社内で共有化することも難しさも非常に理解できます。だからこそ仕組みづくりに取り組んでいくのです。
     
    経営とは試行錯誤の連続でもあり、非連続だと思っていることが、連続性を産み出していくものです。ツールは戦略を実現するためのものでしかありません。出発点である戦略が何をおいても重要です。その戦略を描くための組織の姿勢や考え方、というものがとても重要だということは、思想からすべてが始まっているからなのでしょう。

    ”まずは心を定めること。その次に手続きが重要になる”というのは、ここですね。


     

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