逢魔が時

お盆ですね。田舎はお盆になるとちょっとだけ人口というか、すれ違う車が増える気がします。

小さいころはこのお盆時期が怖いものでした。当時はぼくは毎年千葉の親戚のいえに2週間くらい遊びにいっていたんだけど寝る場所はだいたい仏間でした。

部屋のとこには縁側があって、庭の奥は林でした。クーラなんてつけないから、扇風機がまわるなか、網戸をあけて眠ることになるんだけど、窓の方をみると網戸ごしは本当に漆黒なんですよね。いまでは民家が立ち並んで超開発されているけど。

で反対側をむくと鴨居のところに歴代の方の遺影が飾ってあるんです。あれがどうにもこうにも子供心には怖くて。で、頭のうえは仏壇があるんですよね。遺影はたいがいは祖父の兄弟の方々なんだってことでしたが、ほとんどが軍服姿でした。みなさん戦死しているんですよね。1回聞いた記憶があるんだけど、海に沈んで遺骨もないとかいっていたかな。

で、難しいことはわからないんだけど、そういった方々が年に1回帰ってくる時期がこのお盆だと。

naban55 / Pixabay
「えーでもこの家に住んでいたのじゃないでしょ」と思いつつそんなことを口にだすことはできないですものね。部屋を真っ暗にして寝るのは怖いから、薄明かりがついているんだけど横目でチラっとみると、遺影が目に入る。怖さ半分、不思議さ半分だったなあ。あの遺影の白黒加減が怖いんですよ、きっと。

自分がいまここで寝ている空間というか空気感と遺影の周辺の空気感がなんかちがう気もしてた。でも子供だから

  • 自分が死んだらあぁして遺影が飾られるのかな
  • 写真は誰が選ぶんだろう
  • きっといまなら野球帽を被っている写真かな
  • とかくだらない事を考えながら、毎年寝ていたものです。

    そんな感じで、ぼくは「お盆」というとそのころ、(たぶん)昭和55年とか56年くらいの千葉の親戚の仏間を思い出します。

    今日は、その遺影の人たちが納骨されているお墓に墓参にいってきました。うん、千葉なんだけど出身は石川だったり愛知だったりするらしくって、よく知らないんだけど、とにかくいまお墓は石川にあるんですよ。人はいつ死ぬのか。寿命がつきたときと、人々から忘れさられたときに、もう一度死ぬと、いう話をよく聞きますよね。あとは思い出したときが命日だとも聞いたかな。

    そういう意味では、名前は知らないんだけど、あの遺影の方々のことをぼくは覚えているから彼らはまだ生きていることになるのかな。「逢魔が時」って時間帯が1日にはあるけれど、こうしたことを思う夏は1年の逢魔が時であって、過去と現在がいろいろ絡み合って渋滞している時期なのかもしれないですね。

    yyryyr1030 / Pixabay

    ぼくがそうであるように、全国各地でいろんな人が、かつて娑婆世界にいた彼や彼女を思い出して偲んでいるのかもしれません。連日こういうことを書いていると、ぼくもふと思い出す人がやっぱりいるものです。

    葬式は密葬で身内だけでいいし、荼毘に付したら、まぁ関係者には通知のおはがきを送るくらいで充分で。自分のことは、そのままきれいさっぱり忘れてしまってくれていい。生きていた痕跡すら残したくない、ってことをつい2年ほど前に関西で、とある方と話していたことがあります。その人も同じ意見だったので、ちょっと変なかんじで盛り上がったかなあ。
     
    だけど、結局ぼくは約束を守ることができず、ふとした時にその人のことを思い出してしまいます。ここ書きながら思い出していますしね。話していた空間や、交わした会話とかいろいろ思い出せる。約束破っているんだろうなぁ、きっと。でもあの会話を交わした空間には、足を踏み入れることはできなさそうな気はする。

    そんな約束やぶりのぼく自身だけど、相変わらず同じきもちですね。人さまのお葬式にはいくし、近親者であればきちんとしようとかは思うのだけれども。自分自身のことになると、存在していた事自体を忘れてしまってくれていい、ってあいかわらず思っている。葬式はほんとうにそのときの身内だけでいいし、わざわざ世の中にお知らせしなくてもいいよって思う。
     
    思い出してもらえるのはうれしいのかもしれないけれど、忘れることできなくて、なんか足踏みさせてしまっているのもちょっと刹那い気持ちになりそうだし、いろんな混乱を起こしそうじゃないですか。やっぱりそうなる前に、どうあって欲しいかってリクエストをきちんと伝えておきたいものですよね。じゃないと残ったほうが混乱するよね、多分。人は一代 名は末代なりっていうけど、名も一代でいいんじゃないかなぁ。

    これ5年前にも書いていたね:彼岸のこちら側で思うこと

     

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