自治体に導入が進んでいるという入札方式。
いわゆる「総合評価落札方式」についての
背景などを調べてみる機会があったので
メモ的に残しておきたいと思います。
いままで関わったことがない世界だったのですが
小一時間調べただけでも、インターネットの登場や
情報発信の在りかたが影響を及ぼしていることや
結果として企業評価が20世紀とは相当変化していることが分かりました。

総合評価落札方式とは

一般競争入札には、大別して、仕様を詳細に提示して価格のみについての競争を行うもの(最低価格落札方式)と、価格以外の要素についての提案を受けて、それらの評価を加えて競争を行うもの(総合評価落札方式)との2種類があります。

http://www.meti.go.jp/information/downloadfiles/c60815a-3j.pdf

一般的には入札があるんだーといわれると
最低価格落札方式を想像しますが
現在は発注分野によって評点が異なることはあるものの
いってみれば技術力やその事業の実施体制、過去の実績、
事業の実行可能性を確保するための要素(波及効果、体制、効率性等)
といったことも加点方式によって評価を行うようです。
この評価項目にCSRという項目が入ってきています。

CSRが評価基準に?

この場合のCSR活動を具体的にいえば
地域に対するボランティア活動や地域貢献の実績
が織り込まれていることと定義づけられそうです。
CSR活動に対する項目点数の配分は
自治体や分野によって異なっているけれど
「総合評価落札方式」の項目に入っている
ということは共通しているようです。

「総合評価落札方式」は冒頭にも書きましたように
そもそも値段勝負、価格勝負になりがちだった入札制度の
反省(と非難)を踏まえて
価格以外の項目も評価しようという制度。
流れを調べてみると2004年に京都市が導入したことを
きっかけとして都道府県と自治体に広まっていったとか。

ガイドラインも公開されています。
技術とノウハウを活かした公共工事を目指して
― 総合評価落札方式 パンフレット ―(国土交通省国土技術政策総合研究所)

総合評価落札方式 ガイドブック-調査、広報、研究開発-(経済産業省)

一般競争入札について~総合評価落札方式の導入~(経済産業省大臣官房会計課)

#これが全体像をつかむのにはいいかも。
総合評価落札方式の実施等に関する調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
 
 
落札した業務をしっかりと行う、というのは大前提で
事業に対する創意工夫やリスクマネジメントといった面を
組織運営体制も含めて総合的に(分野によってウエイトは変化するものの)
評価しようというのはある意味、真っ当な流れに
なってきているんだなぁと思います。

評価項目のうちCSR、地域活動については
地域企業市民としての「地域貢献」です。
たとえば自治体との「災害協定」に紐づく活動や
地域内の清掃活動といったことが上げられます。

そもそもCSRって?「総合評価落札方式」の背景を理解する

CSR活動といえば-大企業のみが利益の何%を捻出して行っているもの-
と考えられがちです。これは大きな誤解でして
利益を目的としない慈善事業は寄付行為、メセナ活動と呼ばれています。
話をしていると多くの人がここを混同して認識しています。
 
「総合評価落札方式」の背景を理解するにはCSRについて
流れをざっくりしっておくことが重要だろうと考えました。
なぜならその事自体が企業価値として評価されることであり
どうして評価されるに至ったかというコンテクストを知ることは
「総合評価落札方式」の背景を理解することにつながるからです。

CSRということ自体は1990年代から頻出してきたキーワード。
国内ではアサヒビールがの資材取引先の選定基準として
CSRを取り入れたことが2003年に大きく報じられました。
サプライヤーとの関わり・CSR調達の推進>アサヒグループホールディングス
これは事前に不祥事を防ぐ体制構築の一環としての導入だったそうです。

不祥事を防ぐことは常に行われていましたが
背景にはインターネットの拡大があるようです。
東芝クレーマー事件もひとつのきっかけかもしれませんが
インターネットを介して情報が瞬時に世界中に伝わるように
伝えることができるようになりはじめると
様々な分野に影響を及ぼし始め、企業は適応した体制を取り始めました。
(ちなみに2003年頃はまだ1人1台PCでもなかった記憶があります)
東芝クレーマー事件【東芝ユーザーサポート事件(問題)】とは
 
情報の双方向発信が拡大していくと利益(経済)主導だけではなく
「社会」や「環境」に配慮した企業活動や個人の行動を
求めるような声がインターネットを通して広がりはじめました。
ですのでCSR(orporate social responsibility)は
企業の社会的責任と呼ばれるようになっているのです。
厚生労働省:労働政策全般:CSR(企業の社会的責任)

企業価値とCSRの関係性

 
じゃあ「CSRが企業価値とどう紐づくのか
ということについてを見てみました。
ことはSRI(Socially responsible investment)
=社会的責任投資という話に移動します。
このSRIはざっくりいうとCSRの状況を考慮して行う投資のことです。

このSRI評価手法のなかにポジティブスクリーニングという手法があります。

SRIの主な投資行動には、1)スクリーニング、2)株主行動、3)コミュニティ投資、の三つがあります。1)スクリーニングとは、企業の社会的責任への対応を考慮して投資先を選定することで、投資先として好ましい企業を選ぶ「ポジティブスクリーニング」と好ましくない企業を選ぶ「ネガティブスクリーニング」のふたつの方法があります。
JMR生活総合研究所-マーケティング用語集

SRI投資残高は2014 年9月末現在8,731 億円と
NPO法人社会的責任投資フォーラムより開示されています。
NPO法人社会的責任投資フォーラム

ざっとここまで見てきたようにCSR活動は
具体的には2000年以降に再注目を浴び
注目を浴びたがゆえに企業は取り組みを開始する。
その結果CSR活動自体が投資対象として
評価されるようになってきたという背景が
(CSRが盛り上がり始めた時期と同時期ですので)
最低価格落札方式から総合評価落札方式への移行を後押しし
都道府県・自治体が導入を進めた背景ではないかと考えられます。

企業と社会の関係

企業はそもそもが社会に必要とされる仕事を集団で行うために生まれた組織。
社会の役に立つから報酬としての利益を得ています。
これが「企業は社会の公器」といわれる所以であって
売上とは世の中からの支持
ということになります。

CSR活動を
”企業の経済的活動以外で社会のためになっていることによって得ている信頼”
と定義づけるなら、企業はその姿を開示する必要もありますし
プロセス自体が評価に対して大きな影響を与えていることは
容易に想像がつきます。

CSRにとどまらない企業活動のプロセスを評価して消費することを

『買い物は投票行動だと私は言うんです』。応援したい商品を買うことで、その会社に投票するということですよね。よいものを買うことでお金の循環が生まれ、誰かの幸せを生む。そうすれば、あなたもハッピーになるでしょう。- 池上 彰
http://u-note.me/note/47485602

と池上彰さんが言っていますね。
#↑この引用したページの中身ってこうのさんの
「最愛戦略」のスライド抜粋の印象がある 

どうすれば信頼されるの?

「じゃあ具体的に何をすればいいの?」
こういう話になると必ずこうした質問がでます。 
そして回答はいつも同じで
「これだという正解はありません」ということになります。

CSR活動が企業の信頼を生む活動だとするなら
信頼というものの性質上、組織ごとに最適解は異なります。
前提条件も環境要件も異なれば
実施する人も何もかもが違うのですから。

ただその第一歩が企業理念であることは共通しています。
企業理念を背景にこれまでの実績、積み重ねてきたノウハウ、
技術、人材といった無形知的財産に肉付けを行なって
社会の役に立っていることをまずは自分たちが
しっかり確認し、そのことを明示化していく。

つまり自分たちのことをまずは自分たちが知ること。
そして社会との会話を始めること
がはじまりなんじゃないかと思います。

 

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